♪家を作るならー、というハウスメーカーのCMソングがある。
「注文住宅なら絶対に大工さん」が常識だったのは、いつの頃までだろうか。
最近の住宅現場を覗いてみても、手掛けているのは殆どハウスメーカーか地元の建設会社だ。
肝心の大工さん達は?というと、その下請けで働いているとの事。どうも腑に落ちない。あれだけ住宅のプロと称し、「棟梁」と親しまれて来た大工さん達が、どうしてこのようになってしまったのか?その思いが確信に変わったのは、昨年起きた宮城県北部連続地震である。
当日豪雨の中、契約者宅の被害確認を行った。その際、私同様に某住宅メーカーの社員も自社で建てられたお客様を一件、一件回り、被害状況の確認をしていた。驚いたのは、それだけでは無い。そのメーカーの契約書には、地震被害費用に関し、お客様の負担が30%、住宅メーカー側の負担70%と明記され、5日後には、壊れた壁、建具、内装等の修繕工事に取り掛かっていたのである。お客様の満足度たるや想像に難くない。片や自分で建てた家の確認に歩いた大工さんは何人あったか?
資本力の差とは云え、住宅メーカーの徹底した現場管理+品質管理+アフターサービスを体験してしまったら、もう大工さんには戻れないと感じた。職人が何十年と蓄積した技術を、圧倒的な資本力+組織力+人材力によってマスター出来る事を住宅メーカーが示したように、我が保険業界においても、将来、確実に同じ事が起こるであろう。自分達が住宅メーカーのように、大型代理店化の道を選ぶのなら話しは別であるが、お客様に対し、何を持って「保険に入るならプロ代理店」と言い切れるだろうか。そのヒントは、今生き残っている大工さんをみれば分る。豊かな住空間を提案し、徹底してお客様の想いに応える「現代の匠」、誰にも真似の出来ない技を極め、磨き抜いた「宮大工」。
全て「お客様のために何が出来るか」を徹底的に考え、期待に応えられた本物の方々である。
2004年(平成16年)11月18日 保険毎日新聞 第5378号 代理店版に掲載