安心はしあわせ 保険の鶴亀

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時の流れに-Still Crazy for "HOKEN"

保険という仕事

◇保険代理店とは

今更ながらで恐縮だが、私達保険代理店は目に見えない商品を取り扱っている。
お客様と私達をつなぐものは、一枚の保険証券に託された〝信頼〟という名の無形財産だ。私達は、お客様の喜びや悲しみ、そして誰にも知られたくないほどの苦しみの時でさえも、一番身近で知らなければならない立場に立たされる瞬間がある。臨床心理学界の巨人 故・河合隼雄さんが、何かの記事で、カウンセリングとは、相手の人生を自らが背負うくらいの力量がないと救えない、と仰っていた記憶がある。程度の差こそあれ、それは本当の事だなぁと実感する。

◇お客様と向き合う事とは

それは問題解決や、コンサルティングなどといった生易しいものでは無い。時に本当に辛く、苦しい場面の連続であったり、また逆に感謝や喜びの瞬間でもある。文字通り〝全身全霊〟をかけて、という表現の方がピッタリとくると私は思っている。一人一人のお客様と向き合う事、それは、自分自身の力を試し試される事でもあり、お客様が、私達を通して保険に託された想いや願いを、真摯に受け止め、保険金またはアドバイスという形で、迅速かつ正確にお届けするのが、私達保険代理店の大切な仕事(使命)であると考える。皆様も同じではないでしょうか。

◇代理店の価値

お客様にとって、「何でも話せ、私達(家族、会社)の事を知ってくれている」そして、 「適切な提案とアフターフォローをしてくれる」我々代理店の価値とは正に、ここにあると思う。そのためには、ありとあらゆる体制の準備が必要になってくる。それこそ、言い古された表現だが、「ヒト、モノ、カネ」の充実とバランスは必然である。全てはお客様のために、というベクトルがここに結集する必要がある。そして、もう一つ欠く事の出来ない重要な要素は保険会社との信頼関係である。これを抜きにして、お客様へのサービスを完成する事は出来ない。お客様と保険会社に〝信頼される〟という事が、どれだけの価値と利益を生むか?想像してみてほしい。

◇代理店成長の鍵

「保険は心理学である」そして「想像力の勝負である」本誌でおなじみの佐喜本さんは、大分前からその事を繰り返し仰ってこられた。私も同感である。人間は、一人一人考え方も生き方も其々違う、好みも違う。それ故、結果は〝同じような保険〟をご契約頂いたとしても、プロセスやアプローチは各人全く違う。申込書や保険証券には記載されない、お客様の抱えている本当の問題点、そして未来への希望や夢を私達だけが知り得る立場にいる。お客様が何を欲しているのか?それを読み、想像する力。本当の宝の山とは、お客様との深い絆と信頼関係の鍵(データ)を、私達が握っている事にある。そして、それを活かさずして、代理店(自分自身)の成長発展はあり得ないと私は思う。皆様は如何でしょうか。

◇保険の天国と地獄

翻って、この保険の仕事とは不思議である。もの凄い魅力がある。逆に恐ろしい程の恐さもある。その天国と地獄が一緒にやってくる事もある。謙虚さは必要であるが、一番大切なのは〝自信〟である。「こんなヘナチョコの私ですみません」といった心理状況で接すれば、文字通りヘナチョコ扱いされる。「私とお取引する事がお客様の幸せにつながるのだ」という確固たる信念を持って接すれば、それに相応しい扱いをされる。これは、心理学でも証明されている事実だ。ただし、誤魔化しは絶対に効かない。いくら不滅のマントラを唱えても、それに相応しい力量を身に付けていなければ〝張子の虎〟状態になるのは必然である。

◇楽しい仕事とは

若い代理店さんや、保険会社の社員さんに「どんな仕事がしたいですか?」と聞くと、たいてい「楽しく仕事がやりたいです」と答える。「今、楽しいの?」と聞くと、「いえ、楽しくありません」 と苦笑しながら答える。「本当に楽しい仕事って、お客様や周りから認められ、信頼されないと味わえないんだよ」これは、昔の自分にも聞かせたかった言葉だ。「楽しく仕事するには最低限、身に付けなくてはならない知識や技術が沢山あるからね、自分が楽しくやりたいと思っても、お客様や会社が楽しく仕事をさせてくれないんだよ(笑)。君達は先ず、その壁を乗り越える努力から始めたら?」そう答えると、何となくホッとしたような明るい表情になる。

◇保険という仕事

今思えば、この仕事に就いていなかったら、これだけの気づきや、人生の厳しい様々な壁を乗り越えられただろうか?答えはNOである。それを考えると、感謝というよりも、むしろ、恐いくらい武者震いをする時がある。努力しても報われるとは限らないが、他者との比較や競争というよりも、やはり、自分自身の理想との戦いに尽きるのだろう。自分の理想のイメージをどこまで追い続けられるか。それに共感できる人をどれだけ育てられるか。ブレの無い経営とはそういう事であり、今トレンドの来店型やコンサル型も(否定では無く)あくまで表層的な手段(時代を纏った強力なスキン)と考えた方が良いだろう。結論的に言えば、やはり「お客様に信頼される」事こそ、私達が生き残り豊かになる唯一の道であると確信している。
保険代理店専門メールマガジン【inswatch】
2009年5月18日 Vol..459号掲載
http://www.inswatch.co.jp