安心はしあわせ 保険の鶴亀

メインメニュー

損保総研「TOP代理店のCS活動」で特別講座
【 inswatch 】Vol.237

◇武山敏彦氏((有)鶴亀代表)が講演

財団法人 損害保険事業総合研究所は、平成17年2月10日に東京都千代田区の損保会館にて特別講座を開催、「TOP代理店のCS活動」~お客様のためにが原点~ と題して、本マガジンの連載でおなじみの(有)鶴亀 代表・武山敏彦氏が講演した。

銀行の保険窓販の全面解禁をはじめとする保険流通チャネルの多様化、保険会社主導による代理店再編・大型化、さらには全国展開を目指すニュー代理店の登場など、プロ代理店も従来型の発想や習慣からの脱皮し、より質の高い経営が求められているが、当日は武山氏が、「顧客満足向上」への徹底したこだわりと、そのための独自のデータベース構築、さらに人作り(人材育成)等の経験を紹介。
「当たり前のことを当たり前に」という原点がブランドを作り、お客様から選ばれる代理店になると述べた。

◇スタッフの対応で決まる代理店評価

 講演では、まず若くして代理店を始めた時の思いについて「信用のないことくらい辛いものはない」「仕事の無いことくらい惨めなことはない」「お金のないことほど悲しいものはない」の3つが自分自身の原点になっている。特に信用されない、当てにされないことの辛さを痛感した-と体験を報告。 こうした想いを前提に、お客様は代理店が大きくなることを望んでいるのではなく、何をしてくれたか、してくれなかったかが評価基準となる。また、その評価は社長ではなく、スタッフの対応で決まるケースの方が多い。ブランドとは約束を守る事で、全員がお客様のために「当たり前のことを当たり前にできる事」と述べた。また、代理店大型化について、「顧客中心という初期の想いが、組織中心となってしまうケースが多く、大型化を目指すが故に、顧客ロイヤリティを失っては本末転倒だと感じる」とした。

◇顧客満足をロイヤリティまで高める

このあと、「お客様のことを徹底して知ろう」という同社の体制作りについて解説。
顧客について
①事前に知る(CTIシステム)
②その場で知る(顧客データベース)
③全員で知る(グループウエア)事が大切でシステムを構築した。

「その目的は顧客と1対1の関係作ることに尽きる」とし、

①サービスの一貫性(社員の情報の共有)
②完結性(1回の電話で完了)
③継続性(どんな事でも相談できるという安心感)
を実現することによって、顧客満足度がロイヤリティまで高まることの実例を示した。

また、「顧客データベースはお客様を知る器」とし、属人的データの共有(社長の頭をデータに移す・バックアップ)、契約情報(生損保)と顧客情報の一元化と営業戦略立案への活用、コスト効率化と省略化(営業への集中と管理・保全業務の充実)、保険会社のシステムからの自立等の点でその重要性を説明。
2003年の宮城県北部連続地震の時、停電だったが、自家バッテリーでシステムから該当顧客全件を検索、ライフラインが寸断されている中、顧客全件を回った。
「ここぞという時、代理店の存在価値が問われる試験日が必ず来る」と自らの経験を披露、「データベース構築にお金をかけても、手数料は変わらない。しかし、代理店の信用と質は絶対向上する。信用は手数料を凌駕する」と結んだ。

◇システム作りは人作り

また、「システムは本質のところは人づくりだ」として、社員の能力を余すことなく発揮できる環境が大切で、そのためには

 ①最先端の設備投資を惜しまない(手数料を生活の糧にしない)
②お客様の利益が第一優先(損をする道を選ぶ)
③不易流行(創業原点を守りながらも、変えるべきものは勇気を持って変えていく)

が社是と披露した。また、社員が一番のお客様であり、自社に誇りを持てない会社、満足出来ない会社がお客様を満足させられる筈が無いと断言。スタッフの心の安定が全てで、1日をやさしい心で過ごす、相手の立場に立つ、顧客に必要とされている自覚と感謝の気持ち、常に学ぶ姿勢を持ち続けるという社風を作って行きたいと話した。

尚、「宮城県北部連続地震」の経験から、現在の地震保険の支払いが全損、半損、一部損という三段階の区分になっているが、たった1%の違いで保険金が大きく異なるという問題点を指摘。新潟中越地震等を契機に地震保険の加入も増加しているが、是非、支払基準を細分化するなりの工夫をして、お客様に喜ばれる保険にして欲しいと保険会社に要望した。
(保険ジャーナリスト 石井秀樹)

保険代理店専門メールマガジン【inswatch】 Vol.237掲載
http://www.inswatch.co.jp より